リンレイ

カーライフノート

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SLに乗って考えた、ちょうどいい心地よさ。

こんにちは、Mです。

そろそろ日本列島は梅雨の時期に入り、仕事していても湿気の多さにグッタリしてしまいそうな毎日。うう~ん、たまには息抜きしてリフレッシュしたいなあ。そう思ったものですから、つい先ほどの週末、Mは久しぶりにロングドライブに出かけました。静岡県の寸又峡という山深い温泉地に1泊してきたのです。

この寸又峡、東名高速の掛川ICもしくは焼津ICから大井川に沿って北上すること2時間とちょい、東京からだとさほど遠くには感じません。それでも宿からほんの少し歩けば、目の前に広がるのは木々に覆われた山の緑と、深い深い渓谷の底に流れる青い川面だけ。静かで落ち着く、とても心地よい場所でした。

でもね、Mが今回のドライブの目的地にここを選んだ理由は、この景観だけではなく、他にもあるんです。実は、大井川鉄道を走るSL列車に乗ってみたかったんですね。そう、SL=蒸気機関車です。別にMは「てっちゃん」、つまり鉄道マニアってわけじゃないんですが、それでもなぜなんだろう、なんだかふっとSLで旅してみたくなっちゃったのです。ここのところ仕事が忙しくて、せわしない毎日を送っていたせいかなあ。

この大井川鉄道のSLは金谷駅~千頭駅を往復しているんですが、クルマで行く場合は金谷のひとつ先、新金谷の駅前駐車場に愛車を預け、片道1時間20分のノンビリした鉄路の旅を楽しむことになります。あ、SLは運航日が決まっていて、すべて座席指定なので要注意ですよ。運良く往復を予約できたMは、期待に胸膨らませて新金谷の駅へ向かったのでした。


いやあ、本当に何年ぶりだろう。子供の頃、親に連れられて当時まだ現役だったSL列車に乗った覚えはあるものの、物心付いてからは乗ったことがありません。駅のホームに滑り込んできたSLを見ただけで、Mは興奮しっぱなしです。

だって、シュッシュッポッポ、ですよ。この文字の通り、蒸気が音を立てているんです。そしてまた「蒸気機関車」という乗り物の美しさと来たら! 円筒型のボディには細く繊細なチューブが複雑な曲線を描いて走り、頑丈そうなクランクが往復運動を回転運動に変えて鉄輪に伝えます。運転席も観察してみたのですが、いろんな丸型メーターのほかに、やたらとレバーが生えていて、どれをどう操作すれば走れるのか、Mにはさっぱり見当が付きません。クルマはもちろん、飛行機、船、それに電車とも全然似ていない、SL独特の運転席なんですね。これを動かせる運転手さんって、尊敬しちゃうなあ。

客車は昔々、JR(当時は国鉄ですね)東海道線で使われていたという代物で、背が真直ぐで向かい合った4人掛けの座席に、足元の巨大なヒーターが眼を引きます。むやみに高い天井には丸型蛍光灯と旧式な扇風機が付いています。そうか、エアコンなんてなかった時代だものね。暑い時期は、大人たちが木製の窓の両脇に付いている真鍮色のつまみをつまみながら、よいしょっと窓を引き上げて外気を入れたもんです。今回もそうしたかったんですが、トンネルに入るとSLが吐き出す物凄い黒い煙が入ってきちゃうので、そうっと微かに開けるだけにしておきました。


え? SLの話ばかりでクルマの話題が全然出て来ないじゃないかって? いえいえ、そうじゃありません。実はM、こうしてガタゴト揺られながら考えていたのです。SLは遅いし、乗り心地は固いし、エアコンもないけれど、それでも新幹線より気持ちいいのはなぜなんだろう? わざわざ乗りに来たくなるのは、どうしてなんだろうって。

それはね、SLの乗り物としての能力が、人間にはちょうどいいくらいなせいではないでしょうか。科学が発展し、技術が進化して、鉄道もクルマもどんどん高速化し、快適になってはいったものの、人間そのものはそんなに急激に進化していないんだもの。もしかしたら「ちょうどいい」心地よさを置き去りにして、テクノロジーだけが先走ってしまってはいないだろうか。


だからかも知れません、Mはここのところ、少し古いクルマに興味をそそられています。まだバイアスタイヤが主流でラジアルなんて高級品だった頃。ミッションは4速コラムシフトが当たり前で、5速フロアシフトのスポーツ性に憧れていた頃。もちろん、ATなんて外車にしか付いてませんでした。エアコンなんて考えられない、その代わり、「三角窓」という便利な外気導入装置が付いていた頃。そういった時代のクルマたちが、実は我々人間にとっては最も心地よい相棒だったのかも知れない。最新鋭のクルマたちは便利ではあるけれど、最高に楽しいとは限らないような気がします。

エコや地球環境といった観点からももちろんだけど、「ちょうどいい心地よさ」という視点からもまた、ちょっと立ち止まって考えてみることが必要なんじゃないか。そんなことを考えさせられた、大井川鉄道SLの旅なのでした。

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大井川鉄道のSL列車。


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帰りはこのように後進で引っ張っていました。


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昔懐かし通路のドア。


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洗面所。ボタンを押してる間だけ水もしくはお湯が出ます。


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三角窓(ドラフトウインドウ)

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